人工股関節全置換術について

変形性股関節症、リウマチ性股関節症、大腿骨頭壊死、外傷などにより、股関節の機能である支持性と運動性が損なわれて、激しい痛みが続き、すでに保存療法や骨切り術などでは回復が見込まれない場合に人工関節を用いた関節の再建が行われます。

しかし、人工股関節は生体にとっては大変大きな異物でありますし、機械であるがためた摩耗(すりへる)や骨と人工関節の間の固定がゆるむこと、また脱臼や感染などの、まだ耐久年数に問題が残されています。 当院では、日本で最初に開発され、1970年から臨床応用されている前澤式軸旋型人工股関節(金属臼蓋 対 ポリエチレン骨頭)を使用しています。

この軸旋型人工股関節は、股関節により近い構造と機能に設計されており、大型のポリエチレン骨頭が脱臼をし難くし、またこのポリエチレン骨頭が人工骨頭の頚部軸で軸旋して、磨耗を僅少にして摩耗粉による合併症が起こらないように工夫がされています。

現在、この軸旋型人工股関節を行った方の85%に満足な結果を得ておりますが、最近は手術器具の改良や術者の腕の進歩も加わり成績はさらに改善されてきています。