腰部捻挫

「脊髄の良性腫瘍」の項でも述べましたが、脊柱は合計24個の骨からなります。そのうち、5つの腰椎は、それぞれ左右に関節包につつまれた椎間関節があり、椎間板や靱帯や筋肉でつながれています。

原因

運動中に腰を無理にねじったり、中腰でものをもち上げるような不用意な動作の瞬間に、この関節包、椎間板、靱帯、筋肉などの一部が引きのばされたり、断裂したりしておこります。突然はげしい痛みにおそわれ、身動きができなくなることもあります。

この急性の腰痛症状が出た直後には、その原因を明確にすることがむずかしいので、やむを得ずギックリ腰と呼んでいます。腰部捻挫、椎間板ヘルニアの前段階、椎間板ヘルニア、骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折などがギックリ腰のなかに入ります。

症状、診断

はげしい体動時の腰痛、腰の両わきの痛みだけで、下肢のしびれや坐骨神経痛はみられません。せきやくしゃみをすると腰に痛みがひびきます。
診断は発病の状況を参考にして痛みの原因を、半ば以上は推定するしかありません。

治療

治療は腰部捻挫の部位やギックリ腰の原因を、できるだけ区別して治療方針を決めます。しかし、急性の痛みの強い間は、もっとも痛みの少ない姿勢で1週間前後寝ていれば、たいていは楽になります。

必要に応じて圧痛部への局所麻酔薬を注射や、鎮痛消炎薬が服用されます。痛みが軽くなりしだい、コルセットをつけて歩く練習と体操療法を少しずつ始めます。無理をして早く動きすぎると、再発し慢性腰痛になる危険もあります。また、腰痛をおこしやすい動作や姿勢をさけるのは、いうまでもないことです。