頚部捻挫

多彩な動きをもち、そして重たい頭を支えている頸部は、スポーツ外傷、転落事故、 交通事故などにより非常に損傷を受けやすい部位です。とくに交通事故の増加にともない、むち打ち傷害という言葉が一時広く使われ、1つの社会問題とされた時期もありました。

むち打ち傷害とは、自動車などで追突されたり、衝突したりしたとき、重たい頭を支 え、柔らかく動く頸部が、まるでむちのような波状運動を強いられるところから名づけられました。これによって頸部の関節包、椎間板、 靱帯、筋肉、神経、血管などがなんらかの損傷を受けて、複雑な症状が現れます。しかし、これは外力の作用機転を表現するものであって、病気の本態を示すものではないので、最近では適切な病名がつけられないまま頸部捻挫ともいわれています。

症状・診断

短時間の意識障害、頸部痛、頭痛、上肢のしびれ感、肩こり、めまい、 眼症状、耳鳴り、吐き気、ときには腰痛もみられます。そして、これらの症状は、受傷直後から出るものと、直後はとくに症状はないが、数時間から翌朝になって出るものがあります。また1週間くらいから症状が出て、直接事故と関係ある症状かどうか判断しにくいこともあります。一般に受傷直後のエックス線写真では、ほとんどむち打ち傷害に特有な変化をみないものです。

治療

傷害の症状とその程度は非常に多彩で、とくに治療は100人一律とはいきません。そこで、いろいろな治療法が組み合わされ、その病期、症状の変化によってしだいに変えられるのです。受傷の瞬間に意識傷害があったり、上肢に痛みを覚えたりしたときには、その後に症状が現われる公算が大きく、頸部の安静と固定のために1~2 週間の包帯固定が必要です。その後も症状がつづくならば、温熱療法、牽引療法、 筋弛緩薬の内服が開始されます。

 

・医師のかかり方

この外傷を受けて病院へ運ばれたときに特別な症状がないからといって、安心できません。この傷害は、慢性化すると心因的な要素も含まれてくるため、非常に治りにくくなるものです。しかし、整形外科医の方針にしたがって治療し、 本傷害を正しく理解することです。そうすれば、後遺症はあまり心配いりません。